PUBLIC RECORD / 賃料と契約
地代を見直すとき、次の改定額はどう決める?
不動産鑑定士 まーさん(@ma_kanteishi)/更新 2026-10-29
地代の見直しでは、今回の額と、次回からの決め方を一緒に定める方法があります。大阪市とUSJ社の公表された和解案には、対象期間ごとの賃料額に加え、3年ごとの改定、上限・据置き、鑑定への切替条件が盛り込まれています。
期間ごとの請求額・判決額・和解案
大阪市が USJ 社に貸している市有地(4契約)の地代です。単位は月額・1㎡あたり。
| 期間 | 市の主張 | 判決・和解案 |
|---|---|---|
| 2010(平成22)年4月〜 2013(平成25)年3月 | 516円 | 442円(判決確定・市資料) |
| 2013(平成25)年4月〜 2016(平成28)年3月 | 581円 | 約480円(和解案・裁判所鑑定に基づく) |
| 2016(平成28)年4月〜 2019(平成31)年3月 | 592円 | 約495円(和解案・算定ルールによる) |
従前の地代は388円。2010年分の市の主張516円は、USJ社が一体で使っている民間地権者の土地の賃料の平均を根拠にしたもの。
和解案に盛り込まれたこと
- 2013年4月〜2016年3月:月額98,000,000円(約480円/月・㎡)。裁判所鑑定に基づく額
- 2016年4月〜2019年3月:月額101,144,402円(約495円/月・㎡)。下の算定ルールを当てはめた額
- 3年ごとの算定ルール:試算賃料額=従前賃料額×変動率指数。2019年4月1日以降は、前回の試算賃料額を算定の基礎にする
- 変動率指数:①土地が接する4方向の相続税路線価の加重平均 ②消費者物価指数(大阪市)③業種別商業販売額(小売業計)④第三次産業活動指数(遊園地・テーマパーク)。各指標について、従前賃料の適用期間における各年度の値の平均を従前賃料改定時点の値で除し、その比率を単純平均する
- 上限と据置き:実際の改定額は、従前賃料額の1.033倍が上限。試算賃料額が従前賃料額を下回るときは据え置く
- 改定時期と鑑定への切替:改定は2016・2019・2022・2025年の各4月1日。試算賃料額の単価が、一体利用する民間所有土地の平均賃料単価以上になれば、次の改定から鑑定に切り替える。原則として2028(平成40)年4月1日の改定は鑑定で決める
- 次の鑑定業者の選任方法まで定めた案:双方が本件土地の賃料鑑定を依頼したことのある業者を除き、市の鑑定業者名簿から USJ社が3社を選び、市がその中から1社を選ぶ。費用は折半
- 適用期間の途中で増減額請求を互いに行わない約束を置いた。社会・経済情勢が急変したときは、算定方法を適用せず協議する
- 2つの事業用借地権の契約期間の終期を、平成61年3月31日に変更する案
案に記載された支払額は、賃料差額計741,793,404円、利息計293,884,451円、解決金60,000,000円です。
鑑定士の読み
月額442円/㎡は判決確定額、月額98,000,000円は裁判所鑑定に基づく案、月額101,144,402円は算定ルールによる案で、並ぶ数字の決まり方が異なります。同じ表に並ぶ3つの地代は、判決・鑑定・式という別々の手続から出ています。
この案は、2019年4月1日以降の算定の基礎を前回の試算賃料額とする一方、実際の改定額には従前賃料額の1.033倍という上限を設け、算定の基礎と支払う額を分けています。上限で抑えた分が、次の回の試算に持ち越される組み方です。
テーマパークという土地の用途に対して、小売業や遊園地・テーマパークの公表指数を採る理由が、添付の専門家意見に記されています。借主自身の売上ではなく、用途に対応する公表指数を組み込んだ案です。
いま確かめること
- 今の地代と、最後に合意した日・額
- 相手が示した地代の根拠(何の平均か、いつの値か)
- 契約の残り期間と、更新・延長の条件
- 次回以降の改定ルールを決めるか、その都度協議するか
自分の用件で何を確かめるかは、3つ選ぶだけで分かります。
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